アニメ楽しい!を口にする

楽しいを口にしたい

新世界より

 

あらすじ

1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身につけていた。

しめ縄に囲まれた自然豊かな集落「神栖66町」では、人々は化けネズミと呼ばれる生物を使役し、平和な生活を送っていた。町に生まれた12歳の少女・渡辺早季は同級生達と町の外へ出かけ、先史文明が崩壊した理由と、現在に至るまでの歴史を知ってしまう。禁断の知識を得て早希たちを取り巻くかりそめの平和は少しずつ歪んでいく。

 参考 新世界より (小説) - Wikipedia

 

基本的にはアニメは5人の少年少女達のグループに属する渡辺早希の視点で進んでいく。このアニメの面白いところは最初から最後まで、見ている側に主人公以上の情報を与えてこないという点だと思う。

常に、何かおかしい。何かに違和感がある。でも何かは分からない。物語が進むにつれ、違和感の正体がはっきりするが、はっきりしただけ。知識を得てもその知識を得て何かが出来るわけでは無い。だから作中ずっと何か不安。と言う状態で最終話まで続いていく。

ネタバレになってしまうので深くは書けないがこの作品中では人間のメンタルのもろい部分を拡大解釈してIFの未来を描いたというイメージを受けた。作品中主人公は何度も危険な目に遭う。何度も命の危機に遭遇する。そしてそれを「呪力」とよばれる超能力で「敵」を排除することで危険から身を救う。

この作品の怖いところは、武力を使用する明確な敵は居るが明確な悪意は何処にも無い。歪んでしまった善意や平和への渇望。社会正義が主人公達を危機に陥れ。後半で現れる明確な敵でさえも、殺意や悪意、支配欲や権威欲と言った物とは別のところで襲いかかってくる点だと思う。

何をしても、何を犠牲にしても結局何もすっきりしない。何も解決しない。だけどこの先への希望を残しながら、結局具体的に何も変らない。

敵を倒して終わり!もうこれで世界は平和だしやられた方もすっきりしたね!という終わり方では無いが、人間ってそういう種だよね。って思わせてしまう説得力があった。

 

 

キャラデザインや明るめの画像から、青春物か、まぁ少し変った世界観での子供達の生長物語と思ってみた私は何も悪くない。

 

これからこの作品を観ようと考えている方はぜひ一気に観て欲しい。最後まで観ないとずっと不安が残る、でもその不安を解決するためには先を観ないといけないのに観れば観るほど不安になる。

不思議な感覚ですが不安を解消したい、というその気持ちだけで一気に観ることが出来る作品でした。

 

作品の全体の雰囲気の中ではおそらくどうでも良い部分なのかも知れませんが、さすが1000年後の日本。同性愛は当たり前に受け入れられていました。

その辺の細かな設定はどうなっているのか小説が原作のようなのでそちらでは細かく書かれているのかも知れません。

子供達の「両親」の描写はおそらく全て男女の組み合わせだったと思いますが学生達の「恋人」の描写は男女ともに同性が多かった気がしました。社会制度的に恋愛と結婚、もしくは繁殖は別とかって考えられているんですかね。